fujiken design blog

でざいんをやっていく

北欧で「デザインと行動」を学んできた話

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こんにちは、ふじけん(@kenshir0f)です。
一週間ほど北欧で開催されたCIIDが主催のデザインワークショップに参加し「デザインと行動」について学んできたので、そこで得られた知見や感想を軽くまとめてみます。

ざっくり概要

CIIDとワークショップ

CIIDとは国際的な新興デザインスクールで、出身者はAppleIDEOAirbnbなどの先進的にデザインを取り組んでいる企業に就職しておりいわゆる世界的なデザインの登竜門と言われています。
そのCIIDが毎年開催しているワークショップの中で、僕はWeek4のDesign for Behavior & Impactを受講しました。

内容としては

  • 行動科学をどのようにサービスデザインに落とし込むか
  • 行動バイアスがどのように人の意思決定プロセスに影響するか
  • それらを適用するときのデザインプロセスはどう踏むのか
  • どうやって行動の変化を測定するのか

などなど、人の行動(Behavior)に絞って5日間がっつり体験するコースです。

僕はもともと人間工学(人間中心設計)を専攻していたのでBehaviorに関する基礎知識は持っていましたが、それをいざサービスのデザインに適応するとなると「うーん、正直自信ない、、、」とモヤモヤしていたので、今回のワークショップを通して腑に落ちた部分があったのでいくつか共有します。

人を変えることは難しい

まず念頭に置くべきことは「人の意志を変えるのは難しいので、人の周りの環境を変えること」です。例えば、

  • 明日早起きしようと思う夜の自分
  • 当日の朝、布団から出たくない自分

のように、人は時間や場所によって考えやその振る舞いが変わるため、人を直接変えることは非常に難しいことが分かります。(Planning fallacy)

人の周りの環境を整えるほうが結果として行動しやすく、例えば

  • 朝になったら自動でたたまれる布団
  • 朝になったらカーテンが自動で開く
  • アラームを洗面台に置く

など、朝に目覚めやすい環境を整える方が「朝絶対起きるぞ!」と意思決定するよりも遥かに行動を起こしやすいです。(self-control)

行動させるデザイン作成のプロセス

では、具体的に行動をさせるデザインを生み出すプロセスはどう踏むのか?
百聞は一見に如かずなので、こちらの動画を御覧ください。

この動画では一回で成功させていますが、基本は

  1. 行動観察(Listen)
  2. プロトタイプ構築(Build)
  3. テスト(Test)
  4. 反復(Repeat)

を行うことで、行動がどう変わっていくかを少ないコストで検証していくことができます。
僕的にはUIデザイン検証のBuildに時間が取られがちなので、とにかくすばやく作ってTestしていきたいですね。。。
これも「Buildの制限時間を設ける」など行動しやすい環境を整えることが大事かなと思います。

よくある誤解

ワークショップ中は「行動するデザインとそうじゃないデザイン」についての議論がかなり起きていました。 f:id:kenshir0f:20180730053553p:plain 上の図は議論で印象に残っていた内容です。

左の図は「後部座席に人を乗らせないデザイン」として参加者が調べてきたものですが、これは人の意思決定に影響させるだけであり具体的な行動をさせるデザインではありません。
行動させるなら「後ろをトゲトゲにして座らせないようにする」とぶっ飛んだことを言ってましたが、まさにそのとおりだなーと感じました。

右の図はクラス内にあったお菓子です。
実は3時間くらい経過しても「誰も右の入れ物からお菓子を取らなかった」という様子の写真で、人は面倒な要因を無意識に排除して行動する傾向があることが分かります。(Hassle Factors)

講義中でもいろんな仕掛けで参加者に「行動させるデザイン」を体験させながら進むワークショップだったので、実例で楽しみながら過ごせました。

さらに詳しく

他にも行動科学、行動バイアスと紐づけた行動の話など上げたらキリがなのですが、それらについてはcookpad tech kitchen #17でお話します。

cookpad.connpass.com

発表後にスライドを公開予定ですが、僕としては直接お話ししたり意見交換出来たら嬉しいので参加できる方はぜひ聞きに来てください。
(宣伝ごめんなさい...)

参加した感想

今回のワークショップは期待以上の学びやディスカッションができて120点の大満足でした。
ただ他のクラスでは期待していたのとちょっと違った...という人もいたので、講義内容など十分に調べた上で申し込むのが無難かなーと思います。

CIIDのワークショップは今年の12月にも開催されるみたいなので、興味ある分野があれば参加してみてはいかがでしょうか。

ではでは👋